還暦の向こう側の住人

平塚、大磯を散歩しているオヤジのブログです

2024年3月、4月の読書記録

2024年3月の読書記録

17)チンギス紀十 星芒(せいぼう)

18)チンギス紀十一 黙示(もくし)

19)Z世代のアメリ

20)チンギス紀十二 不羈(ふき)

21)チンギス紀十三 陽炎(かげろう)

22)   トヨトミの逆襲

2024年4月の読書記録

23)チンギス紀十四 萬里(ばんり)

24)  チンギス紀十五 子午(しご)

25)チンギス紀十六 蒼氓(そうぼう)

26)チンギス紀十七 天地(てんち)

27)   日本製鉄の転生

28)タイムマシン

 昨年とは打って変わって(笑)、毎月6冊以上の本を読んでおります。

 今年の1月から読み始めた、北方健三さんのチンギス紀全17巻、半年くらいは掛かるのではと思いましたが、読み始めるとあれよあれよと言う間にチンギス・カンモンゴル族の統一のみならず壮大なる国盗り物語に引き込まれます。13歳にして一族を守るためとは言え実の弟を殺し、大同府にて1年間の逃亡生活を送ったのち、家族のもとに戻り、一族の再興のため覇権争い繰り返します。そして、ただ戦うだけでなく、何万頭もの兵馬の育成、鉄の鉱脈を探し当て鉄を作り、優秀な文官を集め要所要所に役所を作り治安し、物資の輸送のための駅や陸路、水路を拡充、医師を育成し病院を作るなど。そんな事がこの時代に出来ていたのかと言うような治世を実現し充実させていきます。チンギス・カンの子や孫までもが戦いに明け暮れ、何十人もの登場人物がモンゴル平原で織りなすスペクタクル、飽きることなく読了できる作品でした。

 3月、4月に読了した本の2/3がチンギス紀だった訳ですが、それ以外の本で理解が深まったと思えるのは「Z世代のアメリカ」と「日本製鉄の転生」の2冊です。

 「Z世代のアメリカ」はデジタルネイティブと呼ばれる若い世代。そして彼らにミレニアム世代を加えるとアメリカの人口の半数が若者によって構成され世論としては大きな力を持つことになります。次期大統領選を占うにおいてもZ世代と50代以上の考えには大きな乖離があり、未来のアメリカはZ世代の動向に左右されると言っても過言ではないようです。強いアメリカを肯定できず、国内に山積する問題にもがき苦しむ弱いアメリカを現実と捉えているアメリカのZ世代がどんなことを考えているのか一読する価値はあると思います。

 「日本製鉄の転生」、現在USスチールの買収でバイデンさんから待ったが掛かっているようですが、関税の問題を回避すべく、海外の拠点で一気通貫の生産体制を構築すべく買収に次ぐ買収を重ねる橋本社長の辣腕ぶりは読んでいて小気味よささえ覚えました。各製鉄所の独自ルールが当たり前、利益率が落ち込んでも鉄を作り続けることが当たり前を次々に打破。「鉄は国家なり」経営の効率化のため高炉の削減によるギリギリの生産体制の中、高炉を止めることは鉄を必要とする企業へも大打撃となるが高炉のトラブルを最小限にとどめるため各製鉄所間の垣根を越えたタスクフォースを作り解決。そしてGX(グリーントランスフォーメーション)により2050年までにカーボンニュートラルを目指すため、コークスの代わりに水素還元と言う新技術へチャレンジする企業の姿勢を見ることが出来た本です。製鉄会社に関しては全くの門外漢なのですが、興味深く読むことが出来ました。

 他2冊の本の感想ですが「トヨトミの逆襲」は本来、「トヨトミの野望」から読むのが順番なんでしょうが図書館で借りられなかったので「トヨトミの逆襲」を借りました。ご存知トヨタをモデルとして書かれたフィクションだそうですがコミックを読んでいるようにさらっと読了することが出来ました。「トヨトミの野望」は読まなくても良いかな(笑)って感じです。

 「タイムマシン」は、本を買ったのは良いのですがなかなか読了出来ない「ダーウィンの呪い」の中で紹介されていました。作者は皆さんご存知のSF作家、ジュール・ベルヌ(この本ではH・Gウェルズと表記されていますが)の不朽の名作の一作です。タイムマシンで行った80万年後の未来がどうなっているのか?単なるSF作品として読んでも当然面白いと思いますし、1894年に刊行された本とは思えない想像力で80万年後の未来が描かれています。

 ダーウィンと親交のあった作者が、ダーウィンの進化論が社会ダーウィニズムとして曲解され「適者生存」とは富裕層こそが進化し貧困層は衰退していくと言う社会が実現すると言った考え方へのアンチテーゼとして書かれた作品として読むことが出来る作品ですね。