ほとんど半径10km円の中

平塚、大磯界隈をe-bikeで鳥撮している高齢者のブログ

2024年8月の読書記録

 8月は読書のスピードがやや遅くなってしまい4冊を読了です。

43)バッタを倒しにアフリカへ 前野 ウルド 浩太郎

44)オオルリ流星群 伊予原 新

45)人類の起源 篠田 謙一

46)退歩を学べ 森 政弘

 ノンフィクション、小説各1冊そして新書を2冊と言った内訳になります。

「バッタを倒しにアフリカへ」、図書館で借りた1冊です。本のタイトルに騙されてはいけません。めっちゃ、元気をもらえる本でした!パーマネントの研究者になる道は狭く険しい。ファーブル昆虫記のファーブル博士に憧れた作者ですが、バッタの研究などをしている日本人が昆虫学者として食っていけるのでしょうか?博士課程を修了し、ドクターの称号を得ても、ポスドクは高学歴の墓場なのか!?一か八かで、バッタの大量発生のメカニズムを解明し、アフリカの食料不足の危機を救うべく研究室を飛び出し、いつ底をつくかもしれない貯金を頼りにアフリカでフィールドワークに挑む前野研究員。多くの困難を周囲に人々に助けられながら研究者とてして、遂に名を馳せることに成功した前野さん。極めて良質なノンフィクションでした。

オオルリ流星群」作者、伊予原さんの経歴に惹かれ、これまた図書館で借りた本です。

www.tokyo-np.co.jp

 神奈川県、秦野市が舞台となる6名の高校生たちの青春群像から、27年後、それぞれの人生を不承不承、不満を抱きながらあるいは心機一転を狙い年を重ねてきた彼ら、彼女らがヤビツ峠近くに小さな天文台を建設するという話です。野鳥好きの私は当然(笑)、オオルリと言う表題がこの本を選択する理由になっております(^_-)-☆

 高校3年、県立高校に通う3年生は受験に向けてまっしぐらなはずなのに、6名の同級生たちは文化祭で1万個の空き缶を使った巨大なオオルリタペストリーを作成し、高校の屋上からその巨大なタペストリーを吊るし、見事、文化祭を盛り上げますが、翌年、仲間の一人が電車に飛び込み自らの命を絶ってしまいます。

 27年の歳月が流れ、6名の仲間の中ではとんでもない秀才、仲間からは「スイ子」と呼ばれていた彗子(アキコ)が三鷹にある国立天文台を辞めて地元に戻ってきます。

 彼女は地元に小さな天文台を建設すると言い出します。ひょんな事から、ヤビツ峠で廃業しようと考えていた喫茶店の2階で天文台は建設される事となります。その喫茶店の郵便受けにはオオルリが営巣すると言います。

 天文台建設に協力する同級生たちに明かされて行く「スイ子」の秘密とは。涙腺が弱り始めている私です。最後はほろりと涙が頬を伝う始末です😢。

 「人類の起源」、分析技術の進化に伴い、実はホモサピエンスネアンデルタール人、デニソワ人らが当時は交雑しながらホモサピエンスのみが生き残ったとは!人類の進化は混血。ヒトラーの愛した優生思想、全くのナンセンスですね。アフリカで生まれ、そして飛び出したホモサピエンス、狩猟民族、農耕民族、果てはペストで絶滅した民族、牛乳を分解できる酵素を持つ民族・・・・。次世代シーケンサーPCRによる遺伝子増幅技術、さらに統計解析による多変量解析と新しい技術で次々と解き明かされ、覆される中、過去のシナリオが解明されるロマン。遺伝子解析などのメカニズムに詳しくない方にとっては、最終章を読むだけでも良いかもしれません。ひょっとすると、数年後、またも新しい人類の起源のシナリオが生まれているかもしれません。

 「退歩を学べ」ロボコン創始者であり東大や東工大の教授を歴任された森さんが実は敬虔なる仏教徒。そしてこの本の執筆中に2011年3月11日の大地震に遭遇するとは。進化とは真逆の考え方である退歩、それは物質的な富の集中に対するアンチテーゼ。退歩を学ぶという事は、私たちの心に宿る、内面的な富、「それは進歩が定義する富とは全く別次元の価値観」の追求、増大ではないかと思います。仏教用語は難しいのですが、例え噺がとても分かりやすく、今一度、私たちの生き方を見直してみてはと思う一冊ではないでしょうか。