還暦の向こう側の住人

平塚、大磯を散歩しているオヤジのブログです

読書感想 2週間も本が読めず・・・。

 11月初旬、あっという間に3冊を読了。しかし、その後に購入した浅田次郎さんの「大名倒産(上)」が全然、頭に入らない。地名、登場人物、江戸時代の武家にまつわる諸々の言葉が全然、頭に入らないんです。上巻をなんとか200ページほど読んだのですがギブアップ。

 と言う事で、昨日、本屋さんに行って購入したのが講談社文庫、道尾秀介さんの作品「カエルの小指」。この作品は月初に読了した「カラスの親指」の言わば続編のような本。

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 「カラスの親指」を読んでいたし、映画も今月、本が読めずにいた間にAmazonのプライムビデオで400円払って(笑)、見ていたので何倍も楽しむことが出来ました。

 「カラスの親指」に登場したタケと、やひろ、まひろ姉妹そしてやひろの夫となった貫太郎に加え、「カラスの親指」から10年後と言う事もありやひろ、貫太郎の間にはテツと言う小学生の息子がおります。悲惨な過去を清算し、もう詐欺は行わず真っ当な人生を歩んでいる登場人物達。主人公のタケは実演販売士として生計を立てています。

 タケが実演販売を行っているショッピングモールに現れた女子中学生のキョウ。彼女はタケに弟子入りを志願します。タケのアパートに泊まり込むキョウから、彼女の母親がナガミネと言う男に騙され、祖父の経営する会社のお金を使いこみ、祖父の会社は倒産、挙句の果てに母は自殺に追い込まれた事を知らされます。

 前作でアパートの火事で亡くなってしまった娘に重なるキョウの願いを叶えるべくタケ達は封印を解き、一大詐欺を仕掛けます。

 前作同様、物語の終盤に繰り広げられるどんでん返しに次ぐどんでん返し。仲間だったはずのキョウの裏切り?キョウを苦しみから解放させようと仕込んだタケの騙しはキョウに通用したのか?人を騙し騙されながらも前作から強いメッセージとして作品の根底に流れている家族愛。そして当たり前のことかもしれませんが、復讐では人は救えない。柔らかな小春日和のような温かさが、読者を優しく包むかのように物語は終わります。