還暦の向こう側の住人

平塚、大磯を散歩しているオヤジのブログです

読書感想 「乱読、本が本を呼ぶ?」 横山秀夫 「ノースライト」「第三の時効」

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 ブクログは読書記録をつけてくれます。8月に読んだ本の中から、横山秀夫さんの著書、「ノースライト」と「第三の時効」について感想を。 

  図書館で全然借りることが出来なかった、ノースライト。人気の本だという事が分かります。仕方がないのでアマゾンで購入(笑)。

 ノースライトとは本来、もっと別の方向から豊かに光を取り入れられるのに敢えて北側から光を取り込む設計。

 ダム工事に携わる父親と「渡り」として転々と工事現場を渡り歩く幼少期を経て一級建築士となった主人公。「あなたが住みたい家を建てて下さい」と施主からの依頼で建てた家。しかし、施主はその家に住むこともなく忽然と消息を絶っている。

 施主の安否や如何に。その家に残された一脚の椅子が1930年、ナチスに追われて日本にわずかの間、滞在した建築家ブルーノ・タウトの椅子であることが分かり、ドラマは大きく動きます。友情、家族の絆、夫婦愛、時間軸はブルーノ・タウトの生きた時代から主人公に訪れた結末までの長い長い歳月の話が読了後にすーっと一つのところに収束していくような安堵感を覚える作品でした。

 という事で、こんな有名な作家を知らなかった私。横山さんのほかの作品も読んでみようという事で、図書館で借りる事の出来た本が「第三の時効」です。 

  ノースライトのような長編ミステリーと思いきや、F県警の捜査一課の1班、2班、3班にて取り扱われる事件が入れ代わり立ち代わり繰り広げられる6編の短編集。短編集と言っても主人公はF県警の捜査一課の3つの班の班長達なので、短編を読んでいるような長編小説の一部を読んでいるような不思議な感覚に本を読み進めていると陥ります。本のタイトル、第三の時効は、犯人が国外逃亡しているとその期間は時効としてカウントされず、第二の時効が発生する訳ですが、それでは第三の時効とは何か?タクシー運転手だった夫を殺害された妻がその鍵を握っている。時効は起訴されないと始まらない・・・・。短編と言えどもいずれも登場人物の心理描写が素晴らしく、読みごたえがありました。この本を先に読んでいたら益々、横山秀夫と言う作家に興味が湧いていたことだったと思います。