還暦の向こう側の住人

平塚、大磯を散歩しているオヤジのブログです

読書感想 「乱読、本が本を呼ぶ?」 論語とソロバン―渋沢栄一に学ぶ日本資本主義の明日と万波を翔る

 渋沢栄一論語と算盤、似たようなタイトルの本が複数出ていると思います。リタイア、無収入の身(笑)。取りあえず図書館で借りることのできた本が、論語とソロバン―渋沢栄一に学ぶ日本資本主義の明日でした。 

 たまたま図書館で出会ったこの本は 20年以上前に書かれた本。歴史に疎い私ですが、この本の古さは全く感じられませんでした。大政奉還から明治の近代化改革において渋沢栄一の存在がいかに大きく、彼が行った経済改革は日本社会を大きく豊かにする礎だったと思います。情に厚く、人の好き嫌いがありとても人間臭い一面がありますが、経済の語源、「経世済民」(世を納め民を救う)を掲げ、当時の価値観では最下層と位置付けられ何も生まないと定義された商業を通じ、冷静にソロバンをはじき、論語の心を持ち、藩閥の妨害を交わしながら銀行を設立して庶民からお金を募り公共事業を成功させ国を豊かにするというサイクルを構築していく様はとても面白く読めました。

 そして妻がよく見ているNHKの100分de名著だったのか・・・?記憶がはっきりしていないのですが、木内昇(きうち のぼり)さんが出演されている番組でご自身の著書、万波を翔る が紹介されていたのでこれまた、図書館で借りることに。

  渋沢栄一とほぼ同じ時代を生きた、下級武士の次男坊、田辺太一の半生を描いた本です。(タイトルの万波を翔るは、太一の海外への憧れと外国方に降り注ぐ大きな障害を万の波と言っているのではないでしょうか。)太一は開国に揺れる幕府で新設された外国方で老中、水野の背中を見ながら前例もなく、何の指針も与えられない欧米列強との外交交渉、日本との各国の貨幣の交換レートの気の遠くなるような折衝。攘夷派が各国の要人や通訳を切り殺してしまえばその損害賠償の折衝。そして国内に目をやれば薩長は独自に外交そして武器の輸入をより有利に進めようとしている。 

www.nhk.or.jp

 NHK大河ドラマでもまさに私が本を読んでいるタイミングとシンクロしたかのようにパリ万博へ田辺太一、渋沢栄一が登場していました。テレビを見ていた私は、読書の臨場感が映像として出現すると言う経験、本を読んだことで田辺太一への思いれの深い私にとっては新鮮な経験でした!(明日、8月15日の放映も楽しみです)

 話が横道にそれましたが、歴史の表舞台にはなかなか登場しないであろう太一と渋沢栄一が苦悩、苦労しながら新しい時代を切り開いていく物語はそれぞれの本から大いに元気がもらえるのではないでしょうか。