還暦の向こう側の住人

平塚、大磯を散歩しているオヤジのブログです

読書感想 「乱読、本が本を呼ぶ?」 鳴かずのカッコウとスギハラ・サバイバル

 手嶋龍一さんは時々テレビで見かけるコメンテーター。最近ですと日曜日の朝の番組、「シューイチ」で時々お見掛けするような。そんな認識しかありませんでした。twitter脳科学者の、茂木健一郎さんをフォローしているのですが、彼のツィートでご自身のFMラジオ番組で手嶋さんが出演され最近(ちょっと前ですが)出版された鳴かずのカッコウに関して紹介をされることを知りました。

 早速、radikoのタイムフリーで茂木さんと手嶋さんの対談された番組を拝聴。鳴かずのカッコウはノンフィクションでは書けない諜報活動の話だとか・・・・・。 

  日本語では情報=informationと十把一絡げに扱われるのですが、情報中の情報、秘中の秘とでも言うような情報をintelligenceと言うと手嶋さんの説明。手嶋さんの本の中にはインテリジェンス、インテリジェンスオフィサーと言う言葉が多用されています。

 マンガオタクの新米公安調査庁官の梶壮太の成長と共に中国、北朝鮮ウクライナの武器輸出のからくりを諜報活動で暴くと言うストーリー。公安調査庁は警察や、防衛省の大組織とは比べ物にならない少額予算、脆弱かつ権限(銃の携帯は出来ない)を持たない組織。そんな組織で上司と共に少ないメンバーで立ち向かっていく様は、ワクワクします。フィクションとノンフィクションが交錯することも緊張感を味わえるのではと思います。

 この著書を読んでならば、ほかの作品はという事で次に読んだ本がスギハラ・サバイバル。 

  第二次世界大戦、ドイツナチスの侵攻の止まらぬポーランドを脱出したユダヤ系2組の家族。彼らはリトアニアまで逃げきり、リトアニアの首都カウス日本領事館領事代理の杉原千畝が発行した所謂杉原ビザを何とか得て脱出。日本の神戸でアンドレイとソフィーは雷児と言う孤児と仲良くなるが、その後アンドレイはアメリカへ、ソフィーは中国へ、雷児は日本で伝説の相場師に。3人の数奇な運命が金融マーケットの世界で繰り広げられます。9.11のドルの暴落においてもテロリスト含む特定の連中が巨額の利益を得ていたなど、私には驚きでした。そこかしこにインテリジェンスオフィサー達の諜報活動、駆け引きが繰り広げられ鳴かずのカッコウでも登場した英国諜報部員、スティーブン・ブラッドレーの活躍もあり手嶋ワールドと言ってよいのか分かりませんが、魅了されました。

 その後、当然ウルトラ・ダラーも図書館で借りて読了いたしました。 

  あまりにも日本が諜報活動弱者であることが分かる、あるいは私たちが諜報活動に関して映画の世界程度の認識しかないことを教えてくれる本達ではないでしょうか。一度、機会がありましたら手嶋さんから日本社会への警鐘のメッセージとして読まれても良いのかと思います。